今回アナログスイッチ「みんなの捨てる家。」特設サイトの特別企画ということで、
それぞれ全く異なる出身、家族、実家を取り巻く環境を持つ
五人(秋本雄基、木幡雄太、ぎぃ子、大川翔子、榊原美鳳)に話を聞いていきたいと思います。
今回アナログスイッチ「みんなの捨てる家。」特設サイトの特別企画ということで、 それぞれ全く異なる出身、家族、実家を取り巻く環境を持つ 五人(秋本雄基、木幡雄太、ぎぃ子、大川翔子、榊原美鳳)に話を聞いていきたいと思います。
-----------稽古場について
秋本:アナログスイッチ「みんなの捨てる家。」2018年が初演の作品で、皆さんはその再演に出演していただくわけなんですが、ぎぃ子さんアナログスイッチ2回目ですけどどうですか?
ぎぃ子:安心感しかないですね。(笑)
でも劇団員でも初めての方もいますし、大迫さんとか渡辺さんとか… 客演の人もはじめましての人ですけど、共演した劇団員はもう友達みたいになってるので安心して稽古できますね。
秋本:美鳳くんは初めての参加になりますけど、アナログスイッチの稽古場の雰囲気など教えていただけますか。
榊原:あの…すごい… 居やすいなぁと思います。
秋本:でも知り合いいないですよね?
一緒に共演した事ある人もいないし、たまたまこの前僕と地元の駅前で会っただけだもんね。
榊原:そう。(笑)
たまたま会って「今度よろしくお願いします」って。
秋本:でもそれくらいだもんね。
一緒にやるはずだった公演も延期になっちゃったし。
※7月に予定されていたハダカハレンチ「エレキ鰻は泣いている?」がコロナによって延期。
秋本:でもね大分稽古場でくつろいでいただいて…
榊原:そうですね。(笑)
居やすい稽古場なので大分くつろいでます。
でも途中で気づいたんですけど、これ怒られないかなぁと思って。
全員:え?(笑)
榊原:いや、現場によってはあるじゃないですか。
ぎぃ子:私、柔軟してるだけで怒られた事あるもん。
全員:えー!!!
ぎぃ子:まあでもその時は落語家さん達と一緒にやったから、そういう概念がなかったのかも。
秋本:大川さんともね。はじめましてですよね。
全員はじめましてですか…?
大川:えっとね、去年の10月に大迫ちゃんと共演していて、岩坪さんとはもう5年くらい前から知り合いかな。宣伝美術のデザイン太陽と雲さんとも知り合いで、あと劇団競泳水着の上野さんからアナログスイッチの情報は収集してた。笑
秋本:じゃあもうそれだけ知り合いいたら、全く緊張しないですよね?
大川:いや、しますよ! 緊張!(笑)
秋本:木幡さんはどうです?
木幡:稽古始まって一か月も経ってないですけど、劇団員と客演さんが馴染むのが早くて良いなと思ってます。
秋本:いやそう。そうなんですよ。
みんないい人で助かります。みなさんのお陰でスムーズに稽古進めさせていただいております。ありがとうございます。
-----------実家と家族について
秋本:さてこの「みんなの捨てる家。」なんですけど、実家、家族、思い出、田舎をテーマにさせてもらっているんですが、今回はみなさんの実家、家族の話を聞かせてもらいたいと思っています。
よしたかくんは実家は東京?
榊原:そうですね。僕はずっと東京です。おじいちゃんおばあちゃんも東京ですね。母方のおじいちゃんおばあちゃんも綾瀬なので遠くないんですね。だから割と頻繁に会いに行きますね。こないだも行きましたし。
ぎぃ子:いいなぁ。
秋本:でもそうだよね。近いとほいほい帰れるもんね。
榊原:そうですね。
でまあ実家に親と妹と僕で住んでいて、今は一人暮らししているんですけど、妹とタイミング合わせて実家に帰ったりはしますね。それで妹は割とそのタイミングで彼氏を連れてくるという…
木幡:なかよしだね笑
秋本:兄弟仲良しだと良いよね。
榊原:それはありますね。両親の喧嘩とか割と濃い話を妹と共有できるので、妹とお互い愚痴を言いあってストレスを軽減させてるみたいな事が割とありますね…
秋本:でも本当にそういうの言い合える兄弟ってなかなかないよね。なんか秘密主義になってしまったりするじゃない兄弟間って。
木幡:するね。
秋本:ぎぃさんは…
ぎぃ子:私は兵庫県の尼崎市に弟と私と両親と祖父母で住んでました。それでいうと私は弟とめっちゃくちゃ仲が悪くて。
大川:今も?
ぎぃ子:やっと仲良く… というか、今弟が海外にいるんですけど、その前に一回東京に来てたんですよ。その時に初めて飲みに行って、
木幡:2人だけで?
ぎぃ子:2人だけで。
まあ、色んな事情があって弟がその日泊まる家がなくなっちゃって、私の家に泊まる事になって、飲みに行く事にもなったんだけど。
もう、デートに行くよりも緊張した。(笑)
全員:えー!
ぎぃ子:結構弟にビビって育ってきたから。
かなり弟の方が権力を握ってる姉弟で。
榊原:いくつ離れてるんですか。
ぎぃ子:2個下なんだけど…
なんかもう何着ていいかもわからなくて、
大川:え、着るものも!?
ぎぃ子:そう。本当に緊張しちゃって。
もうその日は嬉しすぎて泣きながら一人で帰った。(笑)
全員:えー!!
ぎぃ子:元々弟の事が大好きだったから。「なんで仲良くなれないんだろ?」って悩んでて。
でも今は夢を誰よりも応援してくれてる。
木幡:めっちゃ良い話。
秋本:結構実家に帰る事は少ない?
ぎぃ子:少ない。年一回帰るか帰らないか。今年の夏に帰ろうと思ってたんだけど、帰るにも帰れなくなっちゃって。
秋本:ああ、そうですよね。
ご両親はお元気なんですか?
ぎぃ子:うん。元気だし、おじいちゃんおばあちゃんも元気。でもこの前おじいちゃんがお墓を引き払っちゃって。
全員:ええ!
ぎぃ子:おじいちゃん達が亡くなったら入る墓っていうのが元々あるんだけど、孫達に迷惑かけたくないと思ったみたいで、毎回関西に帰ってくるの大変だろうみたいな。
でもこっちとしては結構ショックだったし、悲しかった。
秋本:そうだよね。
ぎぃ子:それに申し訳ないなって。
秋本:そうだよね。実家にいる両親とかおじいちゃんおばあちゃんも負担になりたくないっていうのもあるんだろうし。
ぎぃ子:そうそう。
秋本:出来れば沢山帰りたいけど、そんなに時間もないし、向こうも向こうの思いもあるし、難しいですよね…。
大川さんはどこ出身でしたっけ。
大川:私は千葉。千葉県船橋市っていう、すぐ東京にこれるところですね。で、母方が東京の葛飾区で父方が奈良ですね。
大川:さっき、ぎぃちゃんの話で思い出したんだけど、
うちおじいちゃんが数年前に亡くなったんですよ。で、うち女の子しかいないんです。
だからみんなお嫁に行っちゃうかもしれないし、分家だし、お墓持ってもなぁって言って、あの… うぃーんってやつ(笑)
秋本:あ、出た! あのcmでよく見るやつ。
※機械式納骨堂
大川:にしようって言ってるんだけど、ずーっと仏壇におじいちゃんの骨壺ある。
木幡:え、納骨は!?
大川:だから納骨せずに。
榊原:え、それありなんすね。
大川:わかんない(笑)
全員:えええ(笑)
木幡:大体四十九日で入れますけどね。
大川:入れるじゃん。でも孫の代ってどこまで言っていいかわかんなくて。うちのお父さんのお父さんだから、うちのお父さんを経由して意見を言わないといけないからちょっと面倒くさくて、お父さんのしたいようにしようと思って一年、二年と…
ずーっとおじいちゃんいるのよ仏壇に。
だからこれは… 誰かがこれ持って行かなくてはいけないのかって(笑)
全員:いやいや(笑)
秋本:でもねぇ、墓問題あんのよ。どこに入れるかって。うちのこないだ死んだお父さんは普通に秋本家の墓に入ったんだけど、もしお母さんが亡くなったらそこに入るじゃない。で、その後墓じまいしちゃおうってお兄ちゃんが言ってて、秋本家の墓は更地にしてもらうみたい話はしてたけどね。
木幡:墓じまいもね。結構お金がかかるらしいしね。
ぎぃ子:え、そうなの?
秋本:そうなのよ。お墓に入ってる骨壺をお寺さんに供養してもらって、墓石とか全部よけて更地にしなきゃいけないから。
木幡:大変だよね。
秋本:木幡さんって地元が福島ですよね。
木幡:そう。で、じいちゃんばあちゃんも同じ市内に住んでて、僕は父方の祖父母と両親と男兄弟三人で住んでて、僕が長男っていうとこで育ちました。
秋本:そうなんですよね。木幡さん長男なんですよね。
木幡:そう。こう見えて長男なんです。(笑)
秋本:いや結構僕から見たら長男っぽいとこありますけどね。(笑)
でもさ、田舎の長男って結構大変じゃない?
木幡:うぅん。大変。色んなプレッシャーがかかってくるから。俺だけなのよね、上京してんのが。みんな地元にいるのよ。
二番目の弟は地元で消防士やって、家庭も持ってるから、なんか長男の代わりをやってもらってるっていう、ちょっと後ろめたさがあるよね。
秋本:あーじゃあもう木幡家の中では長男木幡雄太は居ない事になってんだ。
木幡:居ない事にはなってないけど!!(笑)
榊原:無視されてる。(笑)
木幡:こないだもばあちゃんの葬式があったんだけど、俺もう帰れないからコロナで。向こうから来るなって言われたから。
だから弟達がしっかりやってくれたんだけど、画像とか送ってもらって、ほんとちゃんとやってくれてたのよ。
秋本:いやー(笑)
木幡:嬉しいなと思いつつ、申し訳ないなって。
秋本:そうだよね。葬式なんて一番長男がさ、色々やらなきゃいけないじゃない。
木幡:そうなんだよ。弟がやってくれちゃったからさ。
秋本:いや、やってくれちゃったって!
ありがたいだろ!(笑)
木幡:いやほんとにありがたいのよ。(笑)
秋本:それで言ったら僕は次男ですけど、お兄ちゃんがすごいしっかりしてるから、僕はもうちゃらんぽらんで。兄は五個上なんですけど、SEやってて、結婚して子供もいて、一軒家建てて、子供はもう小三、小四とかで… ってもうすごいちゃんとしてるから。長男がちゃんとしてるから、もう次男の僕はちゃらんぽらんで良いみたいな。継ぐ人決まってるし。
木幡:うちそれの逆だから。
長男がこうだから、弟がしっかりしたんだよね。
秋本:でもね、これ美鳳君も長男なんだよね。
榊原:そうなんですよ。だから本当に僕もそうです。
僕の家が割とずっと医者なんですよ。
全員:え、そうなの!!
榊原:そうなんですよ。で、実家がそのまま病院なんですよ。で僕が高校の文理選択で文系行った時点で継がないって事になるじゃないですか。だからもう何も言われなくなりました。(笑)
ぎぃ子:えー
榊原:なんですけど、妹が受験終わるくらいのタイミングで、もし誰も継がないんだったら病院も無くして、家もここじゃなくてもいいねって事を言ったら妹がすごいショックを受けたみたいで。
「じゃあ私継ぐ」みたいな感じになって、入りたかった介護の学科を蹴って、でそこから二浪して今歯医者さんの学校行ってます。
木幡:いや、すごいね!!(笑)
榊原:なんかもう、ほんと俺どうしたらいいんだろうって。妹が大学を卒業するまでに売れるしかないなって。(笑)
秋本:でもこの話する時、田舎と都会の長男の責任の重さって結構違うと思ってたんだけど、そんな事ないんだね。
木幡:でもね、両親世代の長男が継げよっていうプレッシャーはすごいよ。
秋本:やっぱりそれは田舎の方が重いか。
木幡:そうですね。うちの土地自体じいちゃんが開墾した土地なのよ。自分達で山を全部畑にしたから、土地への思い入れがすごい強くて。それを見て親父が育ってるから、どうしても長男の俺に継がせたいって思いがあるみたいなんだけど、こんなんなっちゃったから(笑)
-----------思い出の物にものにまつわるエピソード
秋本:今回付喪神のお話なんですけど、付喪神っていうのはモノにつく神様じゃないですか。なんか実家にある思い入れのあるものとかあったりしますか?
ぎぃさんあります?
ぎぃ子:あんまり良いのが思い浮かばなかったんだけど、ポポちゃんの人形あるじゃないですか赤ちゃんの、あれの昭和版があって。
ポポちゃんよりちょっと大きい金髪の赤ちゃんで、ミルクあげる穴がついてて、ミルクあげるとおしっこ出るみたいな。
それを母親と叔母が遊んでたやつを私が譲り受けて、子供の時遊んでたから。だから三十年弱経ったもので遊んでた。
大川:それはなんか付喪神ついてそう…
ぎぃ子:まあ100年とかではないけど。
もうあと一個はよしさん(劇団制作)に送ってしまったので…
※詳しくは公演パンフレットを買ってね!
秋本:他になんか付喪神ついてそうなものあったりしますか?
大川:代々ってことですもんね。
秋本:いや別に代々って事ではなくて、付喪神って思い入れのあるものにつくものなので。
大川:私は後々、おばあちゃんの桐箪笥を丸々貰うことになってる。その中に着物が入っていて。
日本舞踊やってるから、それを全部くれって言ったら「箪笥もあげるあげる。」って…
全員:え!!
ぎぃ子:素敵。
大川:でもそれ日本舞踊続けなくちゃいけないし、桐箪笥丸々一個貰えるって思ってなかったから。なんか… おばあちゃんが旅立つまでに、この桐箪笥が入る家に住むことにするけど… まだ置くとこないからおばあちゃん家に置いといて、みたいな。
秋本:だいぶデカいですね。(笑)
大川:そうねぇ。ほんとに貰うのか謎なんですけど。
-----------今回の作品の兄弟の立場になったら
秋本:ありがとうございます。
この作品で兄弟達はこの家をどうするかっていう選択を迫られるわけじゃないですか、壊すのか、誰か住むのか。それとも住まずに、誰かが定期的に帰ってきて管理するのか。
もし皆さんがこの兄弟の立場に立ったら、どうするのかなっていうのを最後に聞かせてください。
結構実際の境遇に置き換えられて考えられちゃう人も多いから、難しいと思うんですけど。
木幡さんは実際に長男の役じゃないですか。
木幡:そうね。すごく役と実際の立場が似てますね。
秋本:どうします。木幡さんだったら。
木幡:いやねぇ… 今の考えだと壊そうって思ってんだけど、実際にそうなったら真逆の事しそうだなって予感もある。帰っちゃうかもしんない。そんで自分で住んじゃうかもしれない。
ぎぃ子:うん。
秋本:ていうかなんか、その立場になんないとわかんないよね。
木幡:そう。その瞬間になんないとわかんないかもしんない。
秋本:だって今はそういう立場になってないから、実家に帰っても「家だなぁ」としか思わないけど、いざ壊すってなったら…
ぎぃ子:やだなぁ…
木幡:嫌ですよね…
木幡:うちはばあちゃん家を取り壊ししてんだけど、それ見てたとき、五歳くらいの時でそんなにそこにいた記憶ないんだけど、それでも泣いたもんね。
秋本:あー泣いたんだ。
木幡:泣いた。ばあちゃんとかも泣いてるし、やっぱり。
ずっと住んでた家がショベルカーで壊されてんのをみてんのは、あれはキツかったよ。すごい覚えてるよ。五歳とかだけど。
秋本:これ大川さんとかって実家って一軒家です?
大川:マンションです。
秋本:そうですよね。だから大川さんは… 住む人が居なくなったら売るっていう事になるんですか?
大川:そうですね。一応マンション買うときに家族会議がなされて。財産をどうするのかっていう話になって。父が妹にマンションをって話になっていて。
全員:ええー
大川:まあ、でも妹もローン払ってるんですけど。頭金をお母さんが払って、お父さんと妹でローンを払い続けているっていう。妹が結婚したら、その人と住めばいいし、妹が売るかどうするか考えればいいっていう感じになってはいます。
秋本:じゃあもう既に財産の分与は成されていると。
大川:そうですね。
秋本:じゃあもうこの作品みたいな状況になる事はないって事ですよね。
大川:そうですね。一軒家買うかなっていう話もしたんですけど、やっぱり土地の事とか難しいよなって。妹に渡す事考えると。だからマンションの方がいいんじゃないかなって。
秋本:ぎぃさんはどうです?
ぎぃ子:私ん家はどうすんだろうな。家を建て直してまだそんなに… 20年くらいしか経ってないんだけど… うーん。わかんないなあ。
でも残したい。でも今すぐだったら役者を辞める事は無理だし、関西に帰って役者を続けられたら最高だけど、でもそうなるにはもっとキャリアアップしないといけないし、ゆくゆくは残したいけど。
まあ、弟が住んでくれたらいいなぁって。でも今海外だからなぁ。
秋本:いやでもそうですよね。ついつい兄弟頼っちゃいますよね。
ぎぃ子:そうだし、古い考え方かもしれないけど男の子だし。勝手に家を継いでくれるだろうって思ってたけど、多分そういう感じでもなさそうだから。
秋本:美鳳君だったらどうする?
榊原:いや僕はもう全然取り壊しです。
全員:ええ!!(笑)
榊原:いやもう役者とかをやってる以上、好きな事でなんとかしたいって思っている以上、もう家を取り壊すってして、後悔しながら生きていくしかないなって。
木幡:なるほど。
榊原:そう。もう絶対後悔はするから。
大川:なんだよ、なんかかっこいいな。(笑)
秋本:でもそうだよね。こういう状況になったらどっかで割り切らなきゃいけないなって思いつつも、難しいですよね。
その辺とかついつい自分と照らし合わせて考えちゃいますよね。
秋本:皆さん貴重なお話ありがとうございました。
それぞれの実家や家族の話が、この作品をより理解できるヒントになったのではないかと思います。
これから本格的に稽古始まっていきますけど、みなさんどうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました!!
全員:ありがとうございました!!